糖尿病と目について
糖尿病は、視力低下や失明につながる眼疾患を引き起こすことがあります。
糖尿病予備軍、または糖尿病と診断された方は、内科での治療とあわせて定期的に眼科を受診し、糖尿病による目の病気が起きていないか確認することが大切です。
糖尿病では、目の中で光を通す透明な組織にさまざまな異常が起こりやすくなります。
- 角膜が濁る
- 水疱性角膜症や角膜感染症を起こしやすくなる
- 白内障が進行しやすくなる
- 眼底出血などにより硝子体が濁る
また、糖尿病によって網膜の血管が障害されると、血液成分が漏れ出して網膜がむくんだり、血管が詰まって異常な新生血管が発生したりします。
このような状態を「糖尿病網膜症」と呼びます。
糖尿病網膜症とは
糖尿病網膜症は、糖尿病腎症・糖尿病神経障害と並ぶ「糖尿病三大合併症」のひとつです。
初期には自覚症状がほとんどないまま進行し、気づいたときには重症化していることも少なくありません。
糖尿病あるいは糖尿病予備軍と診断された場合は、症状がなくても早めに眼科を受診し、眼底検査を受けることが重要です。
糖尿病を十分に治療せず放置すると、発症から7~10年程度で約半数の方に糖尿病網膜症がみられ、15年以上では90%近くに発症するといわれています。
糖尿病網膜症の進行段階
単純糖尿病網膜症(初期)
網膜の細い血管に障害が起こり、毛細血管瘤、小さな出血、血液成分の漏出などがみられます。
この段階では自覚症状がほとんどありませんが、血糖コントロールの改善によって病状が安定することもあります。
3~6か月ごとの定期検査が推奨されます。
増殖前糖尿病網膜症(中期)
網膜血管の閉塞が進行し、網膜出血や網膜浮腫が増加します。
かすみ目などの症状が現れることもありますが、無症状で進行する場合もあります。
適切な時期に治療を行わないと、失明リスクが高まります。
増殖糖尿病網膜症(後期)
血管閉塞が進行すると、VEGF(血管内皮増殖因子)が増加し、もろく異常な新生血管が発生します。
これにより眼内出血、網膜はく離、血管新生緑内障など重篤な合併症を引き起こすことがあります。
糖尿病黄斑浮腫
黄斑は、網膜の中心にあり、ものを見るために最も重要な部分です。
糖尿病によって障害された血管から血液成分が漏れ出し、黄斑がむくんだ状態を「糖尿病黄斑浮腫」といいます。
視力低下の大きな原因となるため、早期発見と治療が重要です。
診断にはOCT(光干渉断層計)が有用です。
検査について
糖尿病は自覚症状が乏しいまま進行するため、定期的な眼科検査が大切です。
当院では、散瞳点眼を用いた眼底検査を行い、網膜全体を詳しく観察します。
毛細血管瘤、出血、白斑、新生血管、黄斑浮腫などの有無を確認し、糖尿病網膜症の診断を行います。
必要に応じて、以下の検査を行います。
- OCT(光干渉断層計)
- OCTA(光干渉断層血管撮影)
- 蛍光眼底造影検査
これらにより、網膜血管の閉塞や血液成分の漏れ、黄斑浮腫の程度などを詳しく評価します。
治療について
糖尿病網膜症の治療では、まず内科での血糖・血圧・脂質管理が非常に重要です。
糖尿病のコントロール状態は、眼科治療の効果にも大きく影響します。
眼科では、病状に応じて以下の治療を行います。
糖尿病黄斑浮腫
抗VEGF薬の硝子体注射
増殖前糖尿病網膜症
網膜光凝固術(レーザー治療)
増殖糖尿病網膜症
硝子体手術
糖尿病網膜症は、早期発見・早期治療によって視力を守れる可能性が高まります。
糖尿病と診断された方は、症状がなくても定期的な眼科受診をおすすめします。